「親のようにはなりたくない」と思ってきたのに、気づけば自分も同じように子どもを傷つけてしまっている——。
そんな自分にショックを受けていませんか?
毒親の世代間連鎖は、多くが“無意識”のうちに起こるもの。
あなたのせいではなく、心の深い部分にある「親との関係」や「受け継がれた価値観」などが影響しています。
このブログでは、「もしかしたら自分も毒親化しているかも?」
と不安なあなたに向けて、なぜ毒親の連鎖が起きるのか、そのメカニズムをわかりやすく解説。
メカニズムが理解できると、自己嫌悪のループから脱け出し、親子関係を改善するヒントが見つかります。
この記事を書いた人:心理カウンセラー 雨音(あまね)きよ
アダルトチルドレン、毒親育ち、愛着障害など「生きづらさ」を抱える方のための心理カウンセリングを行っています。
自らも生きづらさに苦しんだ経験から「誰もが自分の人生を生きられる世の中」を目指して活動中。
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毒親の連鎖が起こる3つのメカニズム

毒親の連鎖は、私たちが育った環境で刷り込まれた価値観や思考のパターン」が深く関係しています。
すべて無意識ですが、主に以下のようなメカニズムが考えられます。
- 【1】親自身の価値観を無意識に引き継いでいる
- 【2】両親との関係性で安心の土台が培われてこなかった
- 【3】時代や社会の共通認識による価値観の刷り込み
あてはまる項目は、人それぞれ。
1項目だけにあてはまる人もいれば、複数あてはまる人もいます。
たくさん当てはまるからといって、落ち込む必要はありません。
では、それぞれ詳しく見ていきましょう。
【1】親自身の価値観を無意識に引き継いでいる
親の価値観を無意識に引き継いだ人は、自分も親と同じように子どもに接してしまうことがあります。
人は幼少期に、近しい大人の感情や自己認識を見て学びながら成長します。
そうして親から与えられた価値観や言動を「これが普通なんだ」と無意識に受け入れます。
たとえば、
「努力できない人間には価値がない」
「失敗するのは恥ずかしい」
「自分の意見は我慢しないといけない」
など……
こうした親の価値観を知らず知らずのうちに学習したり、引き継いだりすることが多々あるのです。
「私は親の価値観なんて引き継いでない!むしろ反面教師にしてきたはず」
そう思う方も多いでしょう。実は、私もその一人でした。
でもカウンセリングの学びを通して内面を見つめていくうちに、
私自身が子どもにキツくあたってしまう背景には、
親から受け継いだ無意識の価値観があったことに気づいたんです。
たとえば、私の父はとても厳しい人でした。
私が熱を出して学校を休んでも、「お前が弱い」と責められるような家庭でした。
「自分は絶対にあんな親にはならない」と思っていたのに、自分の娘が習い事で失敗するたび、なぜか私は必要以上に叱責していたのです。
でもどういうわけか、自分ではその気持を止められませんでした。
後に気づいたのは、父が持っていた「一つのことも完璧にできないやつはダメな人間だ」という価値観を、私が無意識のうちに引き継いでいたということ。
「失敗したら、娘がダメな人間になってしまう」という偏った思い込みと不安から、必要以上にイライラしていたのです。
【2】両親との関係性で安心の土台が培われてこなかった
毒親の元で育ち、両親との関係性で安心の土台を築けなかった人は、自分も同じように毒親になってしまう可能性があります。
たとえば、
- 頑張っても認めてもらえなかった
- 両親の仲が悪かった
- 親の過干渉がひどかった
こうした不安の多い体験を重ねると、
「自分には価値がない」
「自分はいい子でいなきゃいけない」
「自分の意見を言ってはいけない」
などといった生きづらい信念が心の奥深くに根づき、子育てにも不安がつきまといます。
ここで、クライアントのMさんのケースをご紹介しましょう。
Mさんは、自分の話を聞こうとしない娘に思わずイライラしてしまうことに悩んでいました。
詳しく話をうかがうと、Mさんの父親は常に一方的で、子どもの話に耳を傾けることがまったくなかったそうです。
そのような家庭で育ったMさんは、いつしか
「自分の気持ちは大事にされない」
「ありのままでは愛されない」
という価値観を心の中に抱えるようになっていました。
そのため娘が話を聞かないと感じたとき、Mさん自身が過去に感じた「無視される苦しさ」が強く刺激され、思わずキツく当たってしまっていたのです。
つまり、子どもの頃に「受け入れてもらえなかった」という心の傷が癒えないまま大人になると、
今度は他の誰かに「自分を理解して受け入れてほしい」という気持ちが強くなっていきます。
その「誰か」は、友人や恋人、配偶者であることもあれば、自分の子どもであることもあるでしょう。
とくに関係が近い人にほど「わかってほしい」「受け入れてほしい」という気持ちはより強くなってしまうものです。
【3】時代や社会の共通認識による価値観の刷り込み
毒親の連鎖を引き起こす3つ目の要因は、心理学でいう「集合的無意識」による価値観の刷り込みです。
集合的無意識とは、「時代や社会が無意識のうちに共有している価値観やイメージ」のこと。
たとえば、「母親=守ってくれる存在」「闇=恐ろしいもの」など、文化や時代を超えて多くの人に共通する考え方がそこには含まれています。
こうした集合的無意識の影響を強く受けている親ほど、古い価値観に縛られやすく、それを無意識のうちに次の世代へと引き継いでしまうのです。
たとえば、
- 「子どもは親の言うことを聞くもの」
- 「我慢するのが美徳」
- 「子育ては女性がやること」
といった考え方は、あなたの親自身もまたその上の世代から受け継いできたものかもしれません。
こうした「社会の当たり前」に強くとらわれていると、
子どもがその枠から外れることを許せなくなり、結果として毒親的な関わり方になってしまうことがあります。
まずは、
「自分が信じている価値観は、本当に自分のものなのか?」
そう問い直すことが、毒親の連鎖を断ち切る第一歩になるでしょう。
自分も毒親のようになってしまう人の特徴

毒親の連鎖には、いくつかの共通したパターンが見られます。
なかでも、カウンセリングの現場でよく聞くのが、次の3つです。
【1】完璧主義で自分に許せないことを、子どもにも許せない
→ 弱音や甘えを許されてこなかった「完璧主義が強い」人は、子どもがそれを自然に表現する姿に、無意識の怒りや嫉妬を感じてしまうことがあります。
【2】自己肯定感の低さが、子育てを苦しくさせる
→ 「ちゃんとしなきゃ」「完璧にこなさなきゃ母親として認められない」
と自分を追い込むことで、子どもにも無意識のうちに“成果”や“評価”を求めてしまいます。
【3】自己犠牲の刷り込みで、子育てが辛くなる
→ 「私さえ我慢すれば」と自分を後回しにして頑張りすぎてしまい、
報われなさや孤独感が怒りとなってあふれてしまうことがあります。
こうした反応の背景には、どれも「子ども時代に満たされなかった気持ち」が関係しています。
今あなたが子育てで不安になっている原因は、そうした過去からのサインかもしれません。
▶︎この3つのパターンをさらに詳しく知りたい方は毒親の連鎖を断ち切るカギは「価値観」と「境界線」だったをご覧ください。
毒親の連鎖を断ち切るために必要な2つのポイント
毒親の連鎖を終わらせるために必要なポイントは、
- 自分が無意識に刷り込まれた価値観を手放す
- 子どもと自分のあいだに境界線を引く
この2つです。
1つ目は、あなたが育ってきたなかでいつの間にか刷り込まれた生きづらい「価値観」に気づき、それを少しずつ手放していくこと。
たとえば
- 「弱さを見せてはいけない」 → 見せても大丈夫
- 「ちゃんとしなきゃ」 → 完璧じゃなくていい
- 「感情を抑えなきゃ」 → 感情を出してもいい
このように自分に許可を出せるようになると、自然と子どもへの接し方もやわらかくなっていきます。
その変化が、連鎖を断ち切る第一歩です。
もうひとつ大切なのが、「子どもとの心の境界線を引く」こと。

たとえ親子でも、心の領域=「心の敷地」はそれぞれ守られるべきものです。
自分と子どもの心の敷地の間に境界線が引けるようになると、
親であるあなたも「背負いすぎずに」関われるようになり、親子関係がぐっとラクになります。
▶︎この2つのポイントついては、以下の記事でより詳しく解説しています。
「私で連鎖を終わらせる」という覚悟が、未来を変える!

毒親の世代間連鎖を断ち切ると、あなたと子どもの未来が変わっていきます。
「連鎖を終わらせる」とは、
自分の親を責めることでも、完璧な親になることでもありません。
それは、
自分がかつて受けた心の傷に気づき、理解し、癒していくこと。
そこから、連鎖は止まり始めます。
ここで忘れないでほしいのは、『無理やりポジティブになって親を許そう』とする必要はない、ということです。
大切なのは、まず自分の本当の気持ちに目を向けること。
そして「なぜこの連鎖が自分の中で起きているのか?」を理解することです。
その先で「親とどう付き合うか」「どんな距離感でいたいのか」を選ぶのは、あなた次第。
あなたが自分の気持ちに丁寧に寄り添い、自分の人生を主体的に歩み始めたとき、
子どもとの関係も自然とフラットになり、親子関係は少しずつ変わっていきます。
▶︎親を許せなくて罪悪感を抱える方に向け、以下の記事で毒親からの回復のステップを解説しています。
毒親の連鎖を断ち切るサポートサービスのご紹介

「1人で自分の過去と向き合うのが難しい」
「今の自分がどう毒親とつながっているのか分からない」
と感じるかたは、専門家のサポートを頼ってみてください。
心理カウンセリング『心の雨の相談室』では、約40年間他人軸や自己否定、完璧主義を克服したカウンセラーがあなたの毒親脱出をお手伝いします。
※「毒親の連鎖断ち切りカウンセリング」の詳細を見てみる
カウンセリングを受けて自分の本当の気持ちが理解できると、毒親の連鎖を止めるだけでなく
人生の質が変わっていきます。
なぜなら、毒親の連鎖には親であるあなたの未解消の傷が大きく関わっているからです。
あなたが自己理解を深め、癒やされることでお子さまとあなたの人生が同時に変わっていくでしょう。

