親子間の共依存は何が悪いの?よくない3つの理由

「親だから」「子だから」と、罪悪感から自分を犠牲にしてしまう…
「本当は会うとつらいのに距離を取れない…」

こういった親子関係の苦しさの裏にあるのが、共依存です。

親の期待に応えようと我慢したり、
逆に「この子のため」と干渉しすぎたり。

どちらも、相手を大切に思う気持ちから始まるのに、
気づけばお互いが苦しくなってしまう。

この記事では、そんな「親子の共依存」がなぜ起きるのか、
そしてどういう点がよくないのかを解説します。

読んだあとには、「関係を断つ」ではなく「健全な状態にする」という新しい見方がきっと見えてくるでしょう。

この記事を書いた人:心理カウンセラー 雨音(あまね)きよ

アダルトチルドレン、毒親育ち、愛着障害など「生きづらさ」を抱える方のための心理カウンセリングを行っています。
自らも生きづらさに苦しんだ経験から「誰もが自分の人生を生きられる世の中」を目指して活動中。
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親子の間に起こる共依存とは?

共依存とは、一見すると「助け合い」や「支え合い」に見える関係です。

けれど実際は、お互いの心の境界線があいまいになり、どちらも自由に生きられなくなる状態のこと。

親子の場合、たとえば次のような関係に現れます。

ケース1)過干渉の親と子の場合

親:「あなたのためを思って」と過剰に子に干渉、コントロールしようとする

子:「親を悲しませたくない」と自分の意思を我慢する

お互いが離れることに強い不安を感じ、両者ともに自立できない

ケース2)アルコールやギャンブル依存症の子と親の場合

親:「この子を救えるのは私だけ」と強く思い込み、お酒を買ってきたりお金を貸したりしてしまう(必要とされていることに、幸せを感じている)

子:「親が何とかしてくれる」と問題を直視せず、結果的に依存行動を繰り返してしまう

互いを必要としながら依存症から抜け出せないループに陥る

両者に共通するのは、愛情の形を借りた「支配と服従の関係」です。

共依存が続くと、負のループから抜け出せず、お互いが苦しくなってしまいます。

親子間で起きる共依存の3つのタイプ

共依存には、関わり方によって大きく3つのパターンがあります。

ここでは、

①支配型
②迎合型
③救済型

の3タイプについて見ていきましょう。

①【支配型】コントロールすることで安心しようとする

「あなたのためを思って」と子に過剰に干渉したり、コントロールしようとする、親に多いタイプ。

相手を支配することで、無意識に自分が必要とされる安心感を得ようとします。

②【迎合型】合わせてしまうことで愛されようとする

「嫌われたくない」「周りに悪く思われたくない」と我慢するタイプ。

たとえば、周囲から「親を見捨てるなんて」という社会通念を押し付けられると罪悪感を強く感じるため、相手に合わせてしまうことも。

③【救済型】助けてあげないと存在価値を感じられない

「親がかわいそう」「私が支えなきゃ」と、相手を助けることで自分の価値を保つタイプ。

優しさの裏には、「必要とされないと不安」という思いが潜んでいます。

心の奥で「そのままの自分には価値がない」と感じている点も、このタイプに多く見られる特徴です。

共依存の何が悪いのか?よくない3つの理由

一見「支え合っている」ように見える共依存ですが、
実際にはお互いが自分の人生を生きられなくなるという深刻な問題を抱えています。

ここでは、親子間の共依存が苦しくなる3つの理由を見ていきましょう。。

自分を犠牲にしてしまう

共依存で相手の感情や要求を優先し続けるうちに、
「自分がどう感じているか」「本当はどうしたいか」が分からなくなります。

その結果、自分の人生を生きる感覚を失ってしまうのです。

② 相手の成長を止めてしまう

「助けてあげたい」「私がいないとダメ」と思うほど、
相手の「自分で考え、自分で選ぶ力」を奪ってしまいます。

つまり、よかれと思ってやっている行動が結果的に相手の自立を妨げてしまうのです。

③ 愛情が「不安」や「義務」にすり替わる

共依存の関係では、愛するよりも「見捨てられたくない」「嫌われたくない」という不安がベースにあります。
そして、「支配する側」も「従う側」も、どちらもその不安から動いているのです。

愛情が義務や不安から生じる「恐れ」に変わると、
自分の気持ちを抑えつけ、無理を続けてしまいます。

その結果、閉塞感や息苦しさが続き、どちらも苦しくなっていくのです。

共依存とは「愛」ではなく「恐れ」の関係

共依存は、愛し合っているように見えて、
実はお互いが「不安で恐れ合っている」関係です。

  • 見捨てられるのが怖い
  • 嫌われるのが怖い
  • ひとりになるのが怖い

だからこそ、支配したり、従ったり、助けすぎたりして関係をつなぎとめようとします

でもそれは愛ではなく、恐れから生まれた行動。
本当の愛とは、相手の自由と成長を信じて、見守ることです。

【まとめ】共依存から抜け出す一歩を踏み出すために

親子間の共依存は、お互いが「愛されたい」「見捨てられたくない」という不安の中で、
無意識に苦しい関係を続けてしまっているのです。

だからこそ、離れようとすると罪悪感も起こりやすいもの。

関連記事:母親がかわいそうと罪悪感で苦しいあなたへ|親の呪縛を手放す方法

けれど、そこに気づいた瞬間から、関係は変えられます。

親を責めるのでも、無理に許すのでもなく、
まずは「自分の心を守る」という選択をすること。

それが、あなた自身を大切にしながら
親子の関係を健全な形に整えていける第一歩です。

それでも「罪悪感が消えない」「どう距離を取ればいいかわからない」、
そんなときは、一人で解決しようとしなくて大丈夫。

当カウンセリングでは、
親との関係で生まれた思考パターンを丁寧にひもときながら、
あなた自身の「心の敷地」を取り戻すお手伝いをします。

初回のかたは、お気軽にお試しカウンセリングをご活用ください。

安心してお話できる環境で、
あなたの中にある「本当の気持ち」を一緒に見つけていきましょう。

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